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Good morning my dream.

0811、九州旅行とムーミン谷の彗星感想

新幹線に乗りながらムーミン谷の彗星を読んだ。

 

ムーミンの物語に登場するキャラクターは個性がある。私はスニフの挙動にハラハラして、特にスナフキンとスニフが話しているのを見ると訳もなくヒヤヒヤする。だけど彼らの関係性はきちんと機能していて、例えばスニフが自分の言動を振り返って落ち込み始める事はないし、ムーミン、スニフ、スナフキンそれぞれの挙動のぶっきらぼう具合ときたら読者の私がヒヤヒヤするほどだというのに、誰もそれについて特別何か感じたり言及したりする事はない。多くの事が当たり前に許されていて、私はそれに対して、驚きと羨ましさと早くこうなりたい気持ちとその他よくわからない精神の高ぶりが混ざり合った謎の感情でいっぱいになってしまった。

 

そういや、昨日のカウンセリングでも「普通って具体的にはなんですか」と聞かれた時に返事に窮して、コーチに「正しさのようなものにとらわれ過ぎているのかもしれないね」と言われた事を思い出す。

 

その時は「正しさにとらわれているのはその通りだし、それが自分の暴走の原因だと感じますが、どうすれば普通……じゃなくて、自然な感覚になれるんでしょう」と答えるので精一杯だったけど、多分彼はそういう風に言いたかったんじゃなかったんだろうな、と思えた。

 

ムーミンシリーズを今この時に読めて本当にラッキーだな、と思う。個性というのは、良いところでもないし、悪いところでもない、という基本的だけど重要な事を私に思い出させてくれた。

 

思い出せたというか、生育歴の関係でほぼまともな人間関係を築けたことのない私にとって未知との遭遇かもしれない。両親とこんな関係性になれたらそれ以上に良いことってないのにな、という気持ちになる。最近、時々考えている友人のことについても同様に。なんかこう、対人関係において正解とか不正解とかそういうやつから解放されて、こんな風に思えるようになれたのは初めての事だ。

 

言葉は世界に線を引く作業だという話を、多分昨日書いたと思うけれど。私はその作業に必ず評価の工程が挟まれてしまうことを恐怖していた。それは過去のトラウマとか、そこから学習して内面化してしまった習慣によって視界が覆われていたという事なんだと思う。特徴と評価はまた別の概念だというのが、だんだん実感を伴ってわかってきた。

 

許すとか許さないとか、そういう形式じゃなくても良いんだね。というか、形式なくても良いってこういう事なんだね。それがわかった。

 

多分、みんなからしたらきっと当たり前のことなんだろうけど、私からしたら(なんかスニフが自分のことを小さな動物と前置く感じと似ているな)すごい新しい発見だったんだ。私はこの発見を大切にしたいんだ。

 

とかとか。新幹線は京都から博多までずっと立ちっぱなしだったけど、なんだかすごくリラックスした気持ちでいられた。

 

相変わらずヘッドホンではシガーロスを延々と流している。みんなが多幸感と呼んでいるのはこれだろうな、とピンとくる程度には脳内麻薬が出ている感じ。なんだか、中毒性が増している気配もある。

 

一週間書いては消しを繰り返しているシガーロスの感想記事をこの旅行中に書きあげてしまいたいな、と思う。感想を書くのっていろいろ考えてしまって難しいけど、心をつかういい機会かもしれない。私のやりたいように表現しよう、これまでいろいろ「やめておこう」と思ってやめた、装飾たっぷりの言葉を使える嬉しさを噛み締めよう。

 

はあ、なんか幸せだ。

これからいろんなものを見て回れるってことも原因としてあるけど、昨日外見に対するコンプレックスが1/10程度になった事とか、今日は正しさに対するコンプレックスが半分ぐらいになった事が原因として大きい。

 

不思議だよね、世界の方は何も変わらないのに。でもこうして不具合を言語によって御した時、私はとても自分が人間で良かったなって思うんだ。この気持ちは昔からそうで、僕はこれを希望と呼んでいる。

 

今日は本当に良い日!

多分こんな身軽な精神性を手に入れた事がない。誰かの機嫌に関係せずに自分の力で生活をデザインしたり自分をプロデュースしたりご飯を買えるし、失敗してもすぐいじめてこない友達が(たぶん)できたし、嬉しいなあ。小学六年生の頃の自分に教えてあげたいし、あの頃の自分を思いっきり抱きしめてあげたい。

 

そんなことを考えていたら、列車がちょうど目的地に到着した。タイミングが最高だ、海で風に吹かれながら考え事をする予定だったけど、もっと街を歩いて店に寄って色んな人とコミュニケーションをとってみても楽しい気がしてきた。

 

まあ、のんびり観光をはじめよう。

 

【観光記録】